青木直己著『下級武士の食日記』NHK出版から。
「幕末における江戸のそば屋のメニューが伝えられているので紹介しましょう。筆頭に御膳大蒸籠(ごぜんおおせいろう)、これは上等な蒸籠の大盛りのことで四十八文もします。次にそば十六文とありますが、これはかけと盛り両方をさしています。以下あんかけうどん(十六文)、あられ(二十四文)、天ぷら(三十二文)、花まき(二十四文)、しっぽく(二十四文)、玉子とじ(三十二文)、最後は上酒一合四十文でした」
あられ:かけそばに霰に見立てたバカガイの貝柱ともみ海苔をちらしたもの。
花まき:あぶって揉んだ海苔をふりかけたかけそば。
しっぽく:松茸や椎茸、蒲鉾、野菜などを加えたそば。
子ども時分に暮らした有明海沿岸の町での様子。アサリやハマグリを食べる地元民はいても、バカガイに手を出す向きは皆無。大量に出荷されてはいたが、子どもでさえ見向きもしない。もちろん、食べると馬鹿になると信じられていたから。むき身を「あおやぎ」、貝柱を「あられ」と呼び、都会で食べられているのを知るのは成人してからのことである。
御破算を強いた相手にまた頼り
それでは、本日のシャッフルクイズ。
『色紙だわ(シキシダワ)』
今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:大阪府にある城下町。