「水うみ。與謝の海。かはぐちの海。伊勢の海」
杉本苑子氏による現代語訳で味わう『枕草子』十六段。
「海は淡水の湖、ことに琵琶湖がよい。塩の海では丹後の与謝の海。それに難波の淀川の河口に近い入り江、また伊勢の海に風情がある」
少納言の好む「海」は、陸地の近くにあることが必須条件のようだ。動植物の姿が見られるからか。「かはぐち」が「川口」だとすると、中之島の西端から南西方向で、安治川や木津川に挟まれた辺りを指す。風情のあった「ちぬの海」は、遥か西に移動。千年が経過した地上は、人と車と建物で溢れる。頭上には、阪高神戸線、大阪港線、地下鉄中央線。地下には、千日前線、長堀鶴見緑地線、阪神なんば線。内燃機関や電気を使って下衆どもが移動する姿を、和漢の学に通じた才女は想像できただろうか。今後4,5百年、人類の基本的な生活スタイルはあまり変化しないとも言われる。が、劇的変化を呼ぶ発明がなされるかもしれない。31世紀、我らの末孫はどんな風に移動しているか。少納言になったつもりで、想像の世界に出かけてみるのも一興だろう。
A( )
Cで内省
ゼロ○シ○
それでは、本日のシャッフルクイズ。
『贅沢人事や(ゼイタクジンジヤ)』
今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:落ち着いていて、物事に動じない。