まちゃつの徒然日記

まちゃつのブログです。はてなダイアリーから引っ越してきました。

“Sherlock”(2)

cockneyの雰囲気を出すためだろう。日本語脚本でのBerwickの科白は、例えば次のような具合。「ふたりでバーに行った。いい店だったけど、おれがウエイトレスと喋くってんのが、カレンは気に入らんかったんだ。で、ホテルに戻ってから大喧嘩つぅ訳」聞き取れない耳で必死に聞いた肝心の科白「稼いでこれないくせに」「『こられない』が正しい」に当たる部分は、“I weren't a real man.”“It's not‘weren't’. It's ‘wasn't’.”だった。直訳すれば「一人前でもないくせに」「‘weren't’ではなく‘wasn't’だろっ」となるか。依頼人の文法間違いを聞けば、世の中高生の英語コンプレックスは雲散霧消間違いなし。一度ご覧あれ。“He learned us how to cut a piece.”なら、Holmesは“learned”を“taught”に訂正。“Then I done it. ”なら過去分詞形“done”を過去形“did”に改めるよう指摘する。映画の科白に使われた構文では無理だが、対義語どうしの“learn”と“teach”には「ひどい目にあわせる」という共通の意味がある。“I'll learn you to tell a lie.”「うそをつけばひどい目にあわせてやる」であれば“learn”を“teach”と取り替えてもさほどの意味の違いはない。形だけ二重否定となっている“(She wasn't)moving no more.”は、もちろん単なる否定の意味で使用されている。英米人でもつい喋ってしまう間違い。日本人だって、しょっちゅう「て・に・を・は」が合わない日本語を口にしている。“(She wasn't)moving any more.”が正しい。日本語脚本では、「動かねかった」を「動かなかった」と言い直させている。翻訳は、単に意味を置き換えるだけの作業ではないのである。


それでは、本日のシャッフルクイズ。


『宇佐美、死亡予知(ウサミシボウヨチ)』


今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:おつくりには必携。