まちゃつの徒然日記

まちゃつのブログです。はてなダイアリーから引っ越してきました。

『別れのワイン』(2)

ワイナリーを守ろうとの激情から、犯罪に手を染めてしまうエイドリアン。その行為が命より大事なワインを収蔵庫丸ごと台無しにするのだから、人生は皮肉。
コロンボの“Do I get a confession,sir?”「自供して下さいますか?」に、観念したエイドリアン・カッシーニは静かに応諾。“Oh,yes,I'll confess.”「自供致します」。じたばたしない。良質のワインさながらのエンディングとなっている。作品を面白くしている要素の1つに、各登場人物が起こす“storm”「騒動」の多重構造がある。冒頭に登場するのは、不仲の兄に結婚資金ををせびりに来る弟の金欠病。二つ目は、弟が漏らす経営権売却。腹違いの兄にとっては上質ワインの醸造維持が困難となる緊急事態。ワイナリーに同業者3人を呼んでいる最中に、成り行きで起こしてしまう「事件」へと繋がる。日曜にも関わらず出勤してきた秘書とも鉢合わせしてしまい、絶体絶命。式場に現れぬ婿を心配。深夜の警察署へ出向くも、家出人係は不在。殺人課に駆け込む花嫁も同様。秘書から迫られる、意に染まぬ結婚話もまた然り。「自供」して刑務所暮らしを選択する窮余の一策にも、題名と通じるものがある。


   切り下げて
   デフレを輸出
   する気なり


それでは、本日のシャッフルクイズ。


『戦士文学、規制(センシブンガクキセイ)』


今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:フロイト