まちゃつの徒然日記

まちゃつのブログです。はてなダイアリーから引っ越してきました。

ありがたきもの(3)

「物語、集など書きうつす本に墨つけぬ事。よき草紙などは、いみじく心して書けども、必こそきたなげになるめれ。男も女も法師も、ちぎり深くてかたらふ人の、末まで中よきかたし」
杉本苑子氏による現代語訳で『枕草子』七十七段を味わう3回目。
「物語や歌集を写す際、本に墨をつけずにすますのもむずかしい。どんなに気をつけていても汚してしまう。きれいなままで写し終えられる例などめったにない。男女の愛の頼みなさは、いまさら口にしてもはじまらないが、女と女が無二の親友のように振る舞っている場合も、終わりまで仲がよいのは珍しい。十のうち八か九までは、気まずくなったしまうものだ」
印刷術の普及にはほど遠い平安時代。手元に置きたい書物があれば、どんなに時間がかかってもひたすら書き写すしかない。使えるのは墨と筆だけ。鉛筆が日本に渡ってくるのは、17世紀初頭。文字を消せるボールペンの出現には、21世紀を待たねばならない。最後の例に違和感を覚える向きも少なくないだろう。少納言がタイムワープ。女子会の盛況ぶりに遭遇すれば、目を剥くか。和漢の学に通じた才女をもってしても、千年後を見通すことは事ほど左様に難しい。


   1三の
   角見落として
   「二冠」散り


それでは、本日のシャッフルクイズ。


『良き飯どうだ?(ヨキメシドウダ)』


今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:胆力を見る。