まちゃつの徒然日記

まちゃつのブログです。はてなダイアリーから引っ越してきました。

やとな

二十代半ばの冬、職場の同僚7人で丹後半島巡りに出かけた。鳴き砂で知られる琴引浜、経ヶ岬天橋立などの見物はそこそこに済ませる。男性ばかりの飲み助揃い故、専らの関心は夕食にある。だが、予約をしない「ぶらり旅」。網野駅前の公衆電話で旅館を探す。「源」の文字に惹かれて電話したM源と価格交渉。話がまとまり、宿泊OK。M源では一番広い「連獅子」の間へ案内される。入浴が済めば、隣室との間にある襖を取っ払っての宴会を始める段取りである。やとな(日雇いの素人芸者)を呼ぶか、と女将が尋ねてきた。芸者などいなくても、若者は飲めば勝手に盛り上がる。お断りしようと思ったら、「物は試し」派の意見が多数を占める。記憶が曖昧だが、1人5千円で3名のセットだったか。現れた3人は、どう見ても自分の母親の年齢を超えている。が、いくら何でも「おばあちゃん」と呼ぶ訳にはいかない。三味線の演奏が一段落したところで、「おばちゃんも一杯やりィや」と酒を勧める。気を遣ったつもりだったが、返ってきた科白が振るっていた。「この商売している人たちにはねェ、いくつ何十になっても『おねえさん』と呼びかけるのが礼儀やでっ」。一瞬の沈黙の後、大爆笑となった。「酒はどんどん持ってきてや。要らん時にはストップかけるから」。まるで落語の世界である。口々に「おねえさん」を連発し勧めるものの、「おねえさん」方の酒量は限られている。寝始めるメンバーが出た段階で「ストップ」。やとなさん達が引き揚げ、雑魚寝の中で運ばれたお銚子を数えると64本! 8本には全く手がつけられていない(T_T)。意外と飲めないものである。当時、1人2万円少々についたが、文句を言うものは誰もいなかった。代替わりしているものの、M源は健在。ハイシーズンのカニ尽くし一泊二食付きは、HPによると1人当たり2万3500円〜4万4500円。デフレ傾向の中では、払える層は限られよう。家族連れがカニを食すには厳しい価格設定である。「おねえさん」方は白寿が間近のはず。往年のパワーが健在なら、「お迎え」にも「百まで待ちやっ!」と追い返すか。


   中継の終わった後のあびこ筋
   長居を目指す名もなき走者


それでは、本日のシャッフルクイズ。


『マリアと角(マリアトツノ)』


今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:手遅れ。