まちゃつの徒然日記

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新聞記事の面白さ(23)

本年1/19付のY売朝刊。「橋下・大阪市長きょう就任1か月」と題する特集記事を組んだ。三段抜きの顔写真にイラストや横書きのコメントを織り交ぜた構成は、読みやすいものの読み応えはない。「役人の蓄積も政策に生かせ」と題する佐伯啓思・京都大教授のコメントを紙面右隅に掲載したのは、「批判精神も忘れてはおらんぜよ」とのポーズを取るためか。ヒトである限りは、残念ながら偉い人でも間違えることはある。校閲部が不備を正さないまま印刷に回したからだろう、本人はもとより新聞社も恥をさらすことになってしまった。例によっておかしな部分を見つけて欲しい。

長く閉塞感に覆われ、変化を求められる時代に、橋下市長のような行動力ある政治家が現れたのは必然だ。国がなかなか政策を実行できずに混迷する中、「民意」を背景に矢継ぎ早に改革を打ち出す姿に、有権者の期待が集まっている。ただ、民意は常に健全ではない。密室政治などへの批判から、1990年代以降、既成政党や官僚機構を否定し、「民意の反映こそが民主主義」とする風潮が強まったが、様々な問題が複雑に絡み合う現代には、大局的意見を持つことは難しい。有権者は時々の気分で揺れ動く可能性が高く、民意は不安定になる。行政機構は変化の激しい時代に柔軟に対応できないといった弊害があるが、過去に成功や失敗を重ねてきた蓄積を抱えている。橋下市長は不安定な民意を頼みに市役所の連続性を否定するだけでなく、役人が持つ蓄積を生かし、「非民主的」に政策を判断する仕組みも取り入れていくことが必要だろう。

「民意は常に健全ではない」が正しければ、世論調査など無駄であろう。代議制だって不必要。貴族政治にでも戻るしかない。京大教授ともあろうお方が、そんな主張をするはずがない。部分否定すべきところを、ついうっかり全否定してしまったというのが真相だろう。「民意が常に健全だとは限らない」とか「民意は常に健全である訳ではない」とか、おっしゃりたかったのだろうが、お騒がせな記事である。


   下みどり中程黄色上は赤
   花に劣らぬ秋の桜葉


それでは、本日のシャッフルクイズ。


『荷台の台座(ニダイノダイザ)』


今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:大宰府の次官。