まちゃつの徒然日記

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『坂の上の雲』(2)

NHKドラマが終了して7ヵ月。前評判以上に豪華な作品だが、脚色が玉に瑕。例えば、朝食後に真之の鼻緒が切れる場面。降り積もる雪の中、好古から裸足のまま登校するよう命じられるが、原作には雨とある。江ノ島への徒歩旅行では、真之が疲れた子規を背負うシーンが描かれる。が、最初に顎を出すのは、原作では真之という具合である。初めて読んだのは、T麻町と大阪市とを往復する通勤電車の中。30数年前を思い起こし、文春文庫を再読。前回は気づかなかった、気になる表現に出くわした。子規も真之も大学予備門に合格。帰宅した好古に報告する件である。1巻154ページから引用。

「酒を飲もう」
好古は、長靴をぬぎすてるなりいった。祝杯だ、というのだが、真之も子規も飲まないから、結局は好古だけが飲む。
―酒はおれの病気だ。
 という好古は、他の豪酒家のように他人に酒を強いるということはなかった。徳利をひきつけて、冷のまま飲み始めた。山賊のようであった。

「他の豪酒家」が他人に「酒を強いる」例として挙げられているのか、「酒を強いることはない」例として挙げられているのかが、このままでははっきりしない。もちろん「酒を強いる」例と解釈するのが常識的だが、あやふや。「は」の位置が良くないからだ。もっと前に出して「他の豪酒家のようには他人に酒を強いることをしなかった」とやるか、ことばを改め「他の豪酒家と異なり、他人に酒を強いるということはなかった」とでも描写すべきであろう。珍事が起きたのは、作品数が膨大だからか。趙の名参謀、李左車の言「智者の千慮にも必ず一失あり」が浮かぶ。


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それでは、本日のシャッフルクイズ。


『予選競う(ヨセンキソウ)』


今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:1年生議員でなくても大変。