まちゃつの徒然日記

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空襲下のロンドン

1940年9/2付の大阪A日新聞記事から。真珠湾攻撃の1年3ヵ月前故、記者の文章にもゆとりがある。前年のポーランド侵攻に始まる世界大戦で独軍は連戦連勝。イギリス上陸を視野に、制空権支配のために圧倒的航空戦力で英国各地を空襲。2ヵ月前の7月から翌1941年5月にかけて、後に“Battle of Britain”と呼ばれる英独一大航空戦が展開されている最中のこと。結局、航空戦力では劣勢の英軍がレーダー網を駆使し独軍を駆逐。上陸阻止に成功する。1969年制作のイギリス映画『空軍大戦略』はこの間のことを題材としている。

【ロンドン特電三十日発】ロンドンのような大都市に頻繁に空襲が行われてからというものはいろいろ新しい事象が起っているが中でも空襲時におけるイギリスの芝居小屋や、映画館は興味ある話題の一であるといってもよいだろう…(略)…ところでロンドンだけについて見ても全市合せて約二百の興行場で空襲サイレンが鳴った場合観客はどう処置しているかというとまず大抵の映画館ではスクリーンの下に電気サインまたは電気掲示板があってそこに「只今空襲警報です」と簡単な言葉が走り出る、つづいて「みなさん慌てずに表口の防空室へ入るか館内にお止り下さい」と知らせる、二、三分映画が消えたかと思うとすぐ連続してやり出す間に観客は静かに席を立って整然として出口へ向うのが常だ…(略)…

72年前故、送り仮名は現在とは異なる。「起こる」となっていなくても当然。戦前の日本人はよほど気が長かったものと見えて、一文が長い。句点をほとんど使用していない。読点を打ちたくなる箇所がいくつもある。が、それらは枝葉末節。引用記事の最後「静かに席を立って整然として出口へ向うのが常だ」に注目。爆弾が降ってくる可能性が大なのに、落ち着いて行動する市民。数年を経ずに映画など見られなくなる戦前の我が国と比べれば、アングロサクソンの底力を見る思いがする。


それでは、本日のシャッフルクイズ。


『紳士欠くのは、いろいろナチス(シンシカクノハイロイロナチス)』


今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:少しくらい醜くても美しく見せる。