まちゃつの徒然日記

まちゃつのブログです。はてなダイアリーから引っ越してきました。

221B Baker Street

シャーロック・ホームズの冒険』が月刊誌『ストランド』に掲載されるのは、日清戦争が始まる3年前、1891年7月のこと。『ストランド』売り物の1つは、掲載する文章に即した挿し絵の掲載。ホームズ物を担当したのは、シドニー・バジェット。deerstalker hat(前後にひさしがあり、耳覆いが付いた帽子)にinverness(ケープ付き男性用袖無しコート)姿のホームズは、彼の創案。弟のウォルターも挿し絵画家。弟の方が人気では上だったという。『ボヘミアの醜聞』の冒頭。長時間の往診を終え自宅まで徒歩で戻ろうとするワトスンが、旧知の221Bを通りかかるシーンを描いている。部屋には耿耿と明かりが点り、見上げると同時に部屋の中を歩くホームズの姿がシルエットとなって2度ブラインドに映る。その部分の原文を載せる。“spare”は、「細長い」の意。
“His rooms were brilliantly lit,and,even as I looked up,I saw his tall spare figure pass twice in a dark silhouette agaist the blind.”
医師の書いた文故、おかしな所はどこにもない。変なのは挿し絵の方。ホームズの事務所兼住居221Bが、挿し絵では1階。おまけに、入口ドアの前には外階段が3段描かれている。『シャーロック・ホームズの冒険』より前に書かれた『緋色の研究』には、元海兵隊軍曹の郵便配達が2階の事務所に上がってくるシーンが書かれている。階段も屋内だとはっきり分かる描写。ノックの音が大きく響き、階下で低い声。そして、重い足音が階段を上がってきた。再度、原文を掲載。
We heard a loud knock,a deep voice below,and heavy steps ascending the stair.
シャーロック・ホームズ博物館の入口ドア(現在の入口は、1階の土産物店)前のポーチには、もちろん外階段などない。床は、白と青の市松模様。警官が歩哨に立つ場所である。挿し絵上手のシドニー・バジェットは、残念ながら熱心な読者ではなかったか。


それでは、本日のシャッフルクイズ。


『アイウエオの(アイウエオノ)』


今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:源氏の本妻。