まちゃつの徒然日記

まちゃつのブログです。はてなダイアリーから引っ越してきました。

『天国と地獄』

1963年公開の黒澤明監督作品。前半の舞台は、Nシューズの常務、権藤金吾(三船敏郎)邸。権藤は見習い工からの叩き上げ、利潤の追求よりもきちんとした靴作りに情熱を燃やす。会社の経営権争いを巡り、丈夫で長持ちする品質の良い靴よりもデザインが良くて利益の上がる安い靴作りを優先すべしと主張する専務グループ。権藤の吐く反論が記憶に残る。「靴と帽子が同じだという話にはついていけんな。早い話が、帽子は頭の上に乗っかっているだけだ。靴は帽子とは違う。女の目方を載せて歩く!」権藤の子どもを狙った誘拐事件が発生。だが、間違って誘拐されたのは、常務付き運転手の子どもと判明…。経営権獲得のためには、助けられる子どもの命を犠牲にするか。経営権を失い一文無しとなってでも、子どもを助けるべきか。ハムレット的苦悩に陥る権藤…。現在でも充分に鑑賞に値する。制作の動機は、身の代金目的誘拐罪に対する刑の軽さ(三月以上五年以下の懲役。現在は、無期又は三年以上の懲役)に対する公憤からという。身の代金を引き渡すシーンは圧巻。当時の国鉄花形特急151系「こだま」を借り上げ、スタッフや俳優陣が乗車。実際に東海道線を走行させて1度っ切りの撮影に臨んだという。後半は、捜査を指揮する戸倉警部(仲代達矢)中心の描写に変化。犯人に憤り、逮捕に執念を燃やす警部を好演している。主演、助演、脇役などの出演陣が豪華。債権者を演じる西村晃、工員の東野英次郎、記者の大滝秀治などは端役に過ぎない。『スター・ウォーズ』制作のヒントになった、黒澤明監督作品『隠し砦の三悪人』(1958年公開)。C-3POR2-D2のモデルとなった、農民兵の又七(藤原釜足)と太平(千秋実)が、病院のボイラーマン、新聞記者としてカメオ出演している。見終わってからの「金、返せーっ」だけは無い。


それでは、本日のシャッフルクイズ。


『わ、今が秋(ワイマガアキ)』


今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:相手につけ込まれやすい。