まちゃつの徒然日記

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山口良忠(やまぐち・よしただ)

自由経済に規制が加えられることがある。戦後の混乱期に行われた配給統制もその1つ。慢性的な食糧不足の中、320万人の引き揚げ者に加え、310万人の復員兵が国内に戻ってくる。放っておけば、平等に食糧が行き渡らない。家族構成により政府が一定の配給を行うのであるが、絶対量が足りない上に日時も遅れ勝ち。亡母の場合、タクアンをかじり水を飲むだけの日もあったと聞く。都市部の住民は、農家が配給に供出していない米(闇米)を求めて地方に買い出しに出かける。着物などとの物々交換も珍しいことではない。まちゃつが生まれる以前、二百余振りあった刀剣は米に姿を変えたという。ただ、運が悪いと警察の取り締まりに遭遇する。統制法違反故、米は没収の憂き目を見る。餓死者が1000万人に達するとの悲観的な予測もあった1947(昭和22)年、闇米を拒否し配給米だけを食べ続けた裁判官が餓死するという、痛ましい出来事が起こる。裁判官の名は、山口良忠。1913(大正2)年11/16〜1947(昭和22)年7/11。旧制佐賀高校出身。京都帝大法から同大学院に進む。高文試験(司法科試験)に合格。当時は、東京地裁で経済犯(統制令違反)の裁判を担当している。配給米は2人の子どもに食べさせ、夫妻は水状の粥しか口にしなかったとも聞く。生前、山口判事が妻に語ったメモを引用。「人間として生きている以上、私は自分の望むように生きたい。私はよい仕事をしたい。判事として正しい裁判をしたいのだ。経済犯を裁くのに闇はできない。闇にかかわっている曇りが少しでも自分にあるならば、自信がもてないだろう。これからの私の食事は必ず配給米だけで賄ってくれ。倒れるかもしれない。死ぬかもしれない。しかし、良心をごまかしていくよりはよい」やむを得ないこととはいえ、統制ほどひどいものはない。統制で米は希少価値を増す。プレミアがつけば、本来は流通するはずの米も市場から姿を消してしまうからである。統制しなければならない状況が生じないようにするのが政治の役目ではないか。


それでは、本日のシャッフルクイズ。


『冷夏、いうほど?(レイカイウホド)』


今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:リンカーン