まちゃつの徒然日記

まちゃつのブログです。はてなダイアリーから引っ越してきました。

PT-109

世界で2番目に大きな島、ニューギニア。オーストラリアの北に位置。面積77万平方キロメートルは、日本の国土の約2倍。泳いでいるカメを横から眺めたような形は、南太平洋の地図では目立つ。本日話題の場所は、その東方のソロモン諸島。100余の島々から成る国土は、2.8万平方キロメートル。人口52万人。首都ホニアラは、第二次大戦中に日本軍が惨敗したガダルカナル島に位置。1943(昭和18)年8/2午前2時半。場所はソロモン諸島西部ニュージョージア島近海。暗闇の中、PT-109は敵艦と衝突。真っ二つに切り裂かれる。PTは、魚雷艇“Patrol Torpedo”の略。全長24メートル。全幅6.3メートル。40トン。厚さ2.5センチのマホガニー材2層構造にパッカード社製12気筒1500馬力ガソリンエンジンを3基搭載。最高時速は76キロ。相手艦名が日本海軍の駆逐艦「天霧」(2千トンの鋼船)と判明するのは戦後のこと。小回りの利く魚雷艇が鋼船に体当たりされるとは不思議だが、事実その通りらしい。航跡を航空機に発見され攻撃を受けるのを避けるため、3基あるエンジンの内2基を停止。残り1基もアイドリング状態だったという。駆逐艦が相手では、40トンの木造船はひとたまりもない。艇長以下13名が投げ出され、2名が死亡。他は残骸につかまり暗黒の海上を漂う。負傷したり火傷を負ったりした兵士を集めると、慢性の腰痛持ちである海軍中尉は、部下の気持ちを確認。「戦うか、投降するか。このような状況に関する軍律は無い。諸君の中には家族や妻子持ちがいる。どうしたい? 私には失うものは何もないが…」投降を避け、近くの小さな島まで泳ぐことを決断する。大火傷を負い泳げなくなった水兵のライフジャケットの紐を口にくわえ5.6キロを泳ぐ。腰は痛くても泳ぎは達者。さすがハーバード大水泳部元代表メンバーだけのことはある。4時間を要し泳ぎ着いた島は、直径100メートルほど。付近は日本軍がうようよ。身を隠すのがやっと。水も食料も手に入らない。中尉は食料を求めて隣の島まで更に4キロを泳ぐ。ココヤシと水が確保できることを確認すると、Olasana島へ部下を移動させる。ワニやサメと出合わなかったのは幸運。後に救助される腰痛の持ち主は、35代合衆国大統領となるJ.F.Kennedy。戦後、魚雷艇を沈めた艦名と乗組員の調査に乗り出している。処罰のためではなく、同じ場所で戦った軍人として話すためである。ケネディーから花見艦長への手紙には「昨日の敵は今日の友」とあったという。陸軍や海兵隊の戦闘に比べ、海軍では機械対機械の戦いの要素が濃い。海軍さんだけに可能な話か。


それでは、本日のシャッフルクイズ。


『梓と君(アズサトキミ)』


今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:前後の事情を考えない。