授業前のワンシーン。他の学生はまだ集合していない。「どちらが美しいと感じるかな？」と先生に尋ねられたことがある。机に出されたのは２枚の写真。日本でもようやくカラーフィルムが普及し始めた頃のこと。さくら、富士、コダックとあるが、コダックはちょっと高価。先生は、フィルムも印画紙もともにコダックがご贔屓。カメラはニコンがお気に入りなのだが、発色の良いのを選んでいるとのこと。被写体はどちらも紅葉である。左側は枝についたままのもので、順光の部分もあれば逆光に葉が明るく透き通った部分もある。右側は苔むした岩の上に赤い葉が落下したもので、濃緑とのコントラストが素晴らしい。枝についた方が美しいと答えると、「本当かなぁ。心の中では右側の方が美しいと思っているのじゃないの？」とおっしゃった。右も美しいのであるが、葉の散り方に少し意図的なところがある。如何にもバランス良く置きましたよ、という感じ。左の方が良いと再度返事すると、「私が尋ねた日本人学生は右を支持することが多いのだけれど、左が良いと思う理由を教えてくれる？」と来た。自然な感じが出ているのが左だと説明しても、納得しかねる表情が続く。先生の自信作をけなしてしまったかな。それでご機嫌が変わることはなかったが…。
それでは、本日のシャッフルクイズ。
『百舌鳥獄死（モズゴクシ）』
今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント：散らし…とも呼ぶ。
