まちゃつの徒然日記

まちゃつのブログです。はてなダイアリーから引っ越してきました。

『サアカスの馬』

安岡章太郎の短編。主人公は、運動オンチの上に学業成績は最低。おまけに怠け者ときている。「まあいいや、どうだって」が口癖。ふとしたことから、背骨の曲がった馬をサアカスのテント裏に発見。どうせ団長の哀れみを受けて生きているんだろうと考えるが…。九段高校といえば、元第一中、府立一中。名門校だった。そうそうたる人物を輩出している。日本ロケット開発の父、糸川英夫は東大に進んでいる。感動的な探査機「はやぶさ」が往復に成功した、小惑星イトカワの名前は糸川博士に因む。元NHKアナウンサー、鈴木健二は東北大に進学。衆議院議員横路孝弘も同窓生で進学先は東大。だが、安岡は劣等生だった。エリートの集団に入ったら、最初は誰でも入れたことを素直に喜ぶ。だが、競争が始まると新しく序列が決まる。優秀な人の集まりであっても、誰かがビリを引き受けねばならない。劣等感の虜になってしまい、向上心を一切持たなくなる場合も珍しいことではない。実際に自殺する生徒もいたのである。敗北しても気の持ちようが肝心だ。鼻毛の長さ比べで負けたんだくらいに考え最低限の努力を怠らなければよいのであるが、なかなかそうはならない。現実は厳しい。創作の動機を安岡章太郎本人が述べているのを何かで読んだ。母校、九段高校の新聞部員が訪ねてきて学校新聞に載せる原稿を依頼されたのがきっかけらしい。母校の様子を尋ねると、自殺する生徒が出るというものだった。衝撃を受けた章太郎が、何とかして後輩を励ましたい、命を救いたいという一念で書いた小説だという。


それでは、本日のシャッフルクイズ。


『嘘、愛しそう(ウソアイシソウ)』


今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:互いに好き。