まちゃつの徒然日記

まちゃつのブログです。はてなダイアリーから引っ越してきました。

『ヤギとライオン』

カリブ海トリニダード・トバゴという国がある。ベネズエラの北隣、オリノコ川の河口に近い。熱帯サバナ気候に属し、6月から12月の雨季には連日スコールに見舞われる。面積5130平方キロメートルというから、愛知県ほどの広さ。トリニダードもトバゴも島の名。国民はアフリカ系及びインド系で、人口134万人。首都ポートオブスペイン。この国の昔話を俳優の佐野浅夫が語っていた。NHK『お話出てこい』という幼児向けラジオ番組でのことである。小さな国なのに、日本の昔話よりスケールが大きいかな。始まり始まり!

昔々、お家へ帰るヤギがいた。スコールの中、いつもは用心して避けていたのに、ライオンの家の前を通ってしまう。「おおいヤギ君、ずぶぬれじゃないか。雨宿りをしていかないかい?」ライオンの声は優しく態度も親切そうだったので、ヤギはつい家に入ってしまう。暖炉の前に腰掛け濡れた毛を乾かしていると、ライオンがヴァイオリンを弾いてくれるという。弾きながら次のように歌ったと。

♪雨の降る日にゃ家にいて、待っているのが一番さ。
出かけて濡れちゃ馬鹿らしい、待ってりゃきっとやってくる。
おいしいお肉がね、トローントローンとね。
おいしいお肉がね、トローントローンとね。

おいしいお肉が自分のことと分かったヤギは、内心びっくり仰天。でも平気な顔をして「ライオンさん、良いヴァイオリンですね。僕にも弾かせて下さい」と応じる。えびす顔のライオンからヴァイオリンを借りると、ヤギは歌い始めた。

♪昨日殺したライオンは、9千9百9十9。
あと1頭で1万さ、あと1頭で1万さ。
どうやら今日で1万頭。
うっふふふふ、1万頭。

歌詞を聞いたライオンは妙な気分になった。(ヤギがライオンを食うなんてことがあるだろうか? でも、用心した方がいいぞ)そう思うと、かみさんを呼んで「薪を取ってこい!」と怒鳴る。雨の中、薪を取りに行けと言われたかみさんは渋々出かけようとする。玄関を出る際、ライオンがかみさんに「帰ってくるな」とささやくのをヤギは聞き逃さない。(しめた!)疲れても大きな声を出し、速いテンポで歌い続ける。不安になったライオンは、今度は息子を呼ぶと「森へ行っておっかさんが何をぐずぐずしているのか見てこい!」とわめく。もちろん「帰ってくるな」とつぶやきながら。のどがからからになり腕もしびれてきたけれども、ヤギは必死になって歌い続ける。いよいよ大きな声でますますテンポ良く。ライオンは恐怖に駆られてしまう。「ヤ、ヤギ君、ゆ、ゆっくりしてくれて構わないんだよ。う、うちの連中を探しに行ってくるからね。ちょ、ちょっと失礼」そう口ごもるとライオンは慌てて自分の家から出て行ってしまった。ライオンの姿が見えなくなると、ヤギは反対方向に全力疾走で逃走したと。そして、それからはどんなに急いでいても、決してライオンの家の前を通らなかったということだ。お仕舞い。


それでは、本日のシャッフルクイズ。


『いじめ大事(イジメダイジ)』


今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:1868年から始まる。