まちゃつの徒然日記

まちゃつのブログです。はてなダイアリーから引っ越してきました。

北風(2)

小4の冬休み前に書写の宿題が出た。習字は苦手。一番気乗りがしない。やりたくないが、やらない訳にはいかない。半紙を買いに行く旨を母に話すと、金を使わなくても半紙なら家にあると言う。家にあるのは、クラスメートが使っている純白のやつではない。高品質らしいが、グレーがかっている。同じ物を買ってくれるように頼んだが、借財があるため母はたとえ1円でも倹約している。上等な半紙が気に入らないのと言われると、それ以上の抗弁はためらわれた。母の差し出した半紙は、2枚だけ。墨をすり課題の「北風」を書こうとすると、いきなり半紙に書く馬鹿はいないとたしなめられた。古新聞に充分練習し、半紙に書くのは仕上げの2枚だけにするように命じられた。アパートの六畳一間が薄暗くなるまで4時間練習した頃、母は外出から帰ってきた。筆先の上げ下ろしのタイミング、動かす緩急が身についたのだろう。お手本通りに書けるようになっている。2枚に清書を済ませた時、ちょっと不安になった。どう見てもいつもの作品と出来具合いが違う。信じて貰えないかもしれない。片方には練習した字で名を入れ、残りにはいつもの雑な文字で入れた。新学期、作品を見た時のI先生。結婚なさって姓がYから変わったばかり。教育大を卒業して直ぐである。おやっという表情を一瞬見せたあと、お褒めのことばを頂戴した。習字を習っている級友と同じかそれ以上の出来映えの作品が、壁に掲示されたのは言うまでもない。ただ、掲示物は、2枚の作品の内雑な文字で名を入れた方の作品だった。


それでは、本日のシャッフルクイズ。


『珍味、うまい粥(チンミウイカユ)』


今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:寒い時期に出す。