まちゃつの徒然日記

まちゃつのブログです。はてなダイアリーから引っ越してきました。

宿毛・佐伯フェリー

宿毛(すくも)市は、元土佐藩支藩があったから城下町と呼ぶべきかもしれない。ただ、城郭は築かれていない。正確には陣屋町か。高知県南西部に位置し、主な産業は、真珠母貝・ハマチの養殖である。一方の佐伯(さいき)市は、元毛利氏2万石の城下町。セメント業・パルプ業が主要な産業であり、大分県南東部に位置する。この両市を結ぶのが、本日話題のフェリーである。乗船したのは、四半世紀以上前の8月18日。佐伯港から宿毛の片島岸壁までの約3時間である。予約していたが、その必要がないほど空いていた。船内を見て回る。客室のフロアーに、不思議なものが雑然と何十と置いてある。大きさは洗面器ほどで、黒っぽい木製の枡である。灰皿にしては大き過ぎるなぁと思ったが、存在理由が分かるのは30分後である。佐伯湾内を航行中は穏やかだが、豊後水道に入るととてつもなく揺れる。ローリングとピッチングの区別などつかない。船は激浪中の木の葉状態。先ず、車のサイドブレーキをもっとしっかり引いておくのだったと後悔した。とても立ってはいられなくなり、座り込んでしまう。横では、妻のトフコさんが激しい船酔い。巨大灰皿を側に置いている。介抱したいが、まちゃつも生きたしかばね状態。体が転がらないようにするので精一杯だ。昭和16年10月、戦艦大和の試運転がここで行われた。排水量6万5千トン。艦首すぐ後ろから主砲にかけて白波をかぶった写真を思い出したが、何の助けにもならない。情けないが、揺れる天井を見つめることしかできない。西海町の南まで到達した頃、永遠に続くかと思われた揺れもやっと収まる。フェリーが宿毛湾に入ったのだろう。船員達は、何事もなかったかのように着岸準備に入る。幸い車輪止めが施してあり、車は何ともない。昼食抜きで乗船したのに、高知に到着するまで何も口に出来ないトフコさんであった。


それでは、本日のシャッフルクイズ。


『参勤のお席(サンキンノオセキ)』


今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:志賀直哉の短編小説に出てくる温泉。