「おい、カベ！ ちょっと来い」契約金ゼロのテスト生で南海ホークスに入団したばかりの捕手が、２軍の事務所に呼ばれた。秋期練習が終わった頃のことだ。ピッチャーが投げた球を投げ返すのがキャッチャー故、２軍の捕手は名前ではなく「カベ」と呼ばれていたという。「お前は、来期の構想には入っとらん」「どういうことですか？」「クビや。進路を変えるなら早い方がエエ。お前は、まだ若い。いくらでも別な道が探せる。年を取ったら、そんな訳にはイカン。お前のために言うとるのや」「一生懸命やりますので…」「お前は、肩が弱い。あれではプロで通用せん。諦めろ」クビを宣言されたのは、現楽天監督、野村克也。この時本当にクビになっていたら、ホークスに三冠王が出現することはなかったのだが、野村は粘った。「給料無しでやります！」「聞いて貰えないのなら、南海電車に飛び込んで自殺します」何とか契約を１年延長して貰えることになったという。先日のNHKBSの番組で、野村本人の言である。それから野村は肩の弱さを克服するため、練習終了後、一升瓶に砂を詰めると秘かに２塁への投球動作を繰り返した。効果は絶大で、矢のような送球が可能になったという。野村ほどの一流選手にも、苦難の時代はあったのである。
それでは、本日のシャッフルクイズ。
『ヤギなくて露骨（ヤギナクテロコツ）』
今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント：トットちゃん。
