H高校美術教師のY先生はちょっと変わっていて、通知票の成績が自己申告制だった。１００点満点で生徒に自己評価させるのだ。美術には興味があり、作品にかなり時間をかけて描いていた。まちゃつの全科目平均点は、ほぼ８４点。美術が１００なら、平均が１点は上がる。平均８５点超で校長表彰になる。さんざん悩んで結局７８点で申告したら、通知票も７８点。ギリギリで８５点を超えることは出来なかった高３の夏、そのY先生から課題が出た。夏休み中に京都市美術館に出かけ、ドラクロアの作品を鑑賞するというもの。感想文なし、入館券を出す必要なし。家計に余裕のない場合、行かなくてもバレないのだが、友人のK森と出かけた。素晴らしくない作品など一つもないのだが、印象に残ったのは「ドン・ジュアンの難破」。写真のように精密で、どこまで近づいていっても質感が損なわれることがない。リアリティーを突き詰めている。衝撃を受けた。一番金のかかる宿題だったが、教科書の作品集では決して味わえない体験をさせてもらった。ドラクロア（１７９８〜１８６３）は、フランスの画家。劇的事件を元にしたダイナミックな構図が得意。「民衆を導く自由の女神」が社会の教科書によく掲載されている。リアリティーを追求するだけではドラクロアを超越出来ないと、印象派の画家たちが考えたとしても不思議はない。
それでは、本日のシャッフルクイズ。
『草鞋のふりか？（ワラジノフリカ）』
今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント：人名。数億円の挙式費用がパア？
