日光東照宮まで案内するように祖母に依頼されたことがある。交通費・宿泊費とも祖母が２人分負担し、新幹線はグリーン車、ホテルは和室を利用、日光ではハイヤーを雇うと言う。まちゃつは、切符の手配、宿泊の予約、ガイドをやればよいとのこと。ケチケチ旅行ばかりしている身からすれば、大名旅行である。亡くなる１０年程前であり、足がかなり弱っていたから致し方ないか。その３年前にまちゃつが東北ひとり旅に出かけ、いろは坂、華厳の滝、杉並木、陽明門、中禅寺湖等を見学。「ほんまに『日光見ずして結構と言うな』とはよう言うたもんや」などと吹聴したため、祖母（Ｔばあちゃん）の興味を惹いたのかもしれない。
上野駅に着き、宿泊先のホテルまでタクシーに乗ろうとして、それは起こった。「朝から並んでいる。近いホテルだから歩いていって」と、タクシー運転手に言われた。確かに、直線距離なら６００ｍ程。道路はぐるっと遠回りしているとはいえ、それでも２ｋｍはない。先方は、長距離客を乗せたいのだろう。旅行鞄をまちゃつが持っても、祖母の足ではその距離も危ない。膝の具合の悪さを力説したが、降りてくれと言う。しかし、２３歳のガイドはしっかりしていた。「陸運事務所（現国土交通省関東運輸局）に電話するでー」大阪弁丸出し。その頃は、携帯電話は無かったが、公衆電話で探すつもりだった。「どうぞ」と運転手。「ほな、名前とタクシー会社名それにプレートナンバー控えるわ」「分かりました、分かりました、行きます」最初からスーッと走れば気持ちいいのに。ガキと婆さんの２人連れやと思うて、ナメてたんでしょうなぁ、あの運転手。
それでは、本日のシャッフルクイズ
ヒント：高校野球のメッカ。
『支援乞う（シエンコウ）』
今度会ったら、答えを言ってね。
