刑事コロンボの第67作。1998年に放送された際の原題は、“Ashes to Ashes”『灰は灰に』。ピーター・フォークは71歳。ここまで老けた刑事など、現実には探す方が無理。が、積み重ねてきた「雰囲気」と脚本の良さとが相まり、リアリティの欠如を補ってなお余りある。鑑賞に堪える作品。
ハリウッドの著名なゴシップ・リポーター、ベリティ・チャンドラー(ルー・マクラナハン)が失踪する。実際は殺人で、連れ去りは偽装。自宅が荒らされているのを見つけた秘書が警察に通報。コロンボが、愛犬“Dog”と共に登場する。残された手帳に本人の筆跡で略記されているのは、当日午後の予定。“TWELVE NOON”“HOUSTON”“FUN”“PH SB”とある。意味がはっきりしている3行目までと比べて、最後の1行は難解。略語故、様々に解釈できるからだ。「昼12時」は、“viewing”(安置された遺体に遺族が別れを告げる)開始時刻。「ヒューストン」は、被葬者の苗字。「楽しみ」とは、ハバランド・プリンス葬儀社代表、エリック・プリンス(パトリック・マクグーハン:本作品の監督でゲスト)が過去に働いた窃盗(ダイヤのネックレスで被害額百万ドル)をベリティがテレビ番組で暴露するつもりでいること。これが殺害されてしまう理由。例によって、犯人以外に知っているのは視聴者だけ。当初“PH”は“phone”、“SB”は人名のイニシャルの線で推理が始まる。サンドラ・ブロックや、スティーブン・ボチコ(『刑事コロンボ』の脚本家)の名前をさらっと出すマクグーハンには、ニヤリとさせられる。
割る割らぬ
割る気なくても
割れる党
それでは、本日のシャッフルクイズ。
『余興、仕事(ヨキョウシゴト)』
今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:旧皇居。