奥吉野の金峯神社西側山道を３００m程登る。左へ折れ急坂を下ると、苔清水。ちょろちょろとしか流れていない。西行が煮炊きの水を得た場所という。右に進むと樹木の生い茂った台地に行き着く。静かで落ち着く場所だ。「チョットォコイッ！」コジュケイの鳴き声が響くだけである。学生時代に１度来たが、あまり変わっていない。２度目の来訪は、トフコさんのご両親を奥吉野へ案内するためである。庵は再建された物だろう。寄せ棟の一間。雨露をしのぐだけの粗末な代物。こんな山奥まで食料を届けてくれる人がいたか、それとも托鉢に出たか、はたまた事前に準備をしてから暮らしたか。ちょっと気になる。しばし佇んだ後、来た道を引き返し車を止めた場所まで戻ろうとすると、女子大生らしき数人と７０半ばの男性から成るグループとすれ違った。人気のない場所である。男性は、同好の士かなという感じでしばらくこちらを眺めていたが、苔清水へと下りていく。「あの人、テレビで見たことがある。誰だったかねぇ」車中でつぶやいたのは丈母。まちゃつにも不明だったが、今なら分かる。確かに、甲南女子大名誉教授、犬養孝であった。１９０７年７／１〜１９９８年１０／３。東大文学部卒業後、大阪大学文学部教授、甲南女子大教授を歴任。犬養博士は、万葉集の和歌に節を付けて朗唱する文学博士として知られている。ことばを交わした訳ではないが、博士との一期一会である。
それでは、本日のシャッフルクイズ。
『汚染、あんまり（オセンアンマリ）』
今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント：神戸の奥座敷。
