杉本苑子氏による現代語訳で味わう『枕草子』二百八十六段の5回目。
「小さな舟を眺めるのも不安なものだ。すこし離れるともう、子供のつくる笹舟でもばら撒いたようで、たよりないことおびただしい。しかし、そんな小舟が船着き場にたくさん集まって、灯をともしたさいの夜景の美しさは、また格別である。しらじら明けの港内を、小型の艀(はしけ)が水すましさながら漕ぎ回るのも、渡世の業とはいえ哀れの一語に尽きる。『拾遺和歌集』に、
世の中を何に譬(たと)へむ朝ぼらけ漕ぎゆく舟の跡の白波
とあるけれど、まことにそのとおりで、艀のうしろに立つ水脈(みお)は、たちまち形を崩して消えてしまう。それにも哀れを誘われるのである。まあ何にせよ、身分の高い方々はあまり船旅などなさらぬほうがよいのではないか。陸地(くがじ)を旅するのも山賊の害、野獣の害など、あぶなくないとはけっして言えないけれど、まだしも地面に足がついているだけ安心できる」
『拾遺和歌集』は、寛弘2〜4年(1005〜1007)頃成立した勅撰和歌集。20巻。千三百余首。「拾遺」は、古今・後撰の両集に漏れた和歌を拾ったの意。朝と夕暮れ、小舟と航空機、題材は異なるが、作中歌と似た気分で一首。
ドップラー効果加わる夕空を入り日に向かう五つの航跡
(これって、賀状にあった戯れ歌やろッ!)ピンポーン!
特番で
茶濁し局の
春休み
それでは、本日のシャッフルクイズ。
『銀さんの主事(ギンサンノシュジ)』
今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:歴代天皇が受け継ぐ。