まちゃつの徒然日記

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オーギュスト・ピカール

東京を3千キロ南下したマリアナ海溝に、地球上で最も深い地点がある。水深1万911メートルのチャレンジャー海淵だ。人類でここに到達できたのは、ジャック・ピカールとドン・ウォルシュの2人。今から51年前の1960年1月23日のこと。使用されたのは、Bathyscaphe(バチスカーフ)と呼ばれるタイプの潜水艇。船名はTrieste(トリエステ)号。バチスカーフを開発したのは、成層圏探査と深海探査で知られるスイスの物理学者Auguste Piccard(オーギュスト・ピカール)。1884年にバーゼルで生まれ、1962年にローザンヌで亡くなっている。バチスカーフの設計は独特。ガソリンが充填されている潜水艇本体に2人乗りの鉄球がぶら下がった格好。容易に入手できる上、圧力をかけても体積がほとんど変化しないガソリンの性質に着目して浮力としたらしい。搭乗員が入る鉄球は厚さ12.7センチ、直径2.16メートル。呼吸によって生じる二酸化炭素を除去する装置が取り付けられていた。潜水を開始する際には電磁石でくっついた鉄球9トンを装備しており、それらを切り離して浮上する。艇内で停電しても水面に戻れる仕組みだ。有人探査機に比べて、遠隔操作の無人探査機は費用が安い。支援を行う母船の運用費用を含めても10分の1以下で済むらしい。1平方センチメートル当たり1000キログラム超の圧力がかかる環境に人命を賭し、10倍の費用をかける科学者などいない。探査が有人から無人に転換された理由である。BathyscapheのBathyは「深い」scapheは「船」という意味のギリシア語に由来。Triesteは進水式を行ったイタリアの地名である。因みに、水深1万911メートルは、日本の無人潜水艇「かいこう」により精密に計測された数値。当日のトリエステ号の計器は、1万1521メートルを示していたという。


それでは、本日のシャッフルクイズ。


『育児新鮮(イクジシンセン)』


今度会ったら、答えを言ってね。
ヒント:儒教で理想とする人物。